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建築BIMソフトの選び方|特徴・メリット・デメリットを徹底解説

建築BIMソフトの選び方|特徴・メリット・デメリットを徹底解説

建築業界でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入が進んでいます。BIMソフトを選ぶ際には、様々な要素を考慮する必要があります。この記事では、BIMソフトの選び方や主要なソフトウェア、導入のメリットとデメリットについて解説します。


BIMソフト選定のポイント

BIMソフト選定のポイントを解説します。


プロジェクトの規模と複雑さ

BIMソフトを選ぶ際は、プロジェクトの規模と複雑さを考慮することが重要です。小規模な住宅設計から大規模な商業施設まで、プロジェクトによって必要な機能は異なります。大規模プロジェクトでは、多くの関係者が同時に作業できる機能が必要です。


一方、小規模プロジェクトでは、使いやすさや基本機能の充実したソフトが適しています。プロジェクトの特性に合わせてソフトを選ぶことで、効率的な設計・施工が可能になります。


既存システムとの互換性

新しいBIMソフトを導入する際は、既存のソフトウェアとの互換性を確認することが大切です。CADソフトで作成した図面データをBIMソフトに取り込めるか、他の部署や協力会社とデータをやり取りできるかなどを確認しましょう。


互換性が高いソフトを選ぶことで、スムーズな作業が可能になります。また、将来的なシステム拡張や更新の際にも、互換性の高いソフトを選んでおくと便利です。


サポート体制と教育プログラム

BIMソフトは複雑な機能を持つため、導入後のサポートや教育が重要です。ソフトウェア会社が提供するサポート体制や教育プログラムを確認しましょう。オンラインヘルプや電話サポート、定期的なトレーニングセミナーなどが充実しているかをチェックします。


また、ユーザーコミュニティの活発さも、問題解決や情報交換に役立ちます。充実したサポート体制があれば、スムーズな導入と効果的な活用が期待できます。


コストパフォーマンス

BIMソフトの導入には初期費用がかかります。ソフトウェアのライセンス料、必要なハードウェアの購入費用、トレーニング費用などの考慮が必要です。年間のメンテナンス費用やアップグレード費用も含めて検討しましょう。


ただし、安いだけでなく、機能や使いやすさとのバランスを考えることが大切です。長期的な視点で、業務効率化やプロジェクトの質の向上につながるかどうかを判断しましょう。


主要なBIMソフトウェアとその特徴

BIMソフトには様々な種類がありますが、ここでは主要な5つのソフトウェアについて、その特徴を紹介します。それぞれのソフトには長所と短所があるので、自社のニーズに合わせて選択することが重要です。


Revit(Autodesk社)

Revitは、Autodesk社が開発したBIMソフトです。建築、構造、設備の設計に対応しており、幅広い機能を持っています。他のAutodesk製品との連携が容易で、パラメトリックモデリング機能が充実しています。クラウドベースの協働作業にも対応しており、大規模プロジェクトに適しています。ただし、学習曲線が高く、習得に時間がかかる可能性があります。Revitは多機能で柔軟性が高いため、様々な規模や種類のプロジェクトに対応できます。


ArchiCAD(GRAPHISOFT社)

ArchiCADは、GRAPHISOFT社が開発したBIMソフトです。使いやすいインターフェースと直感的な操作性が特徴で、建築設計に特化した機能が充実しています。MacとWindowsの両方に対応しており、豊富な3Dオブジェクトライブラリーがあります。


デザイン作業を効率化できる一方で、構造や設備設計の機能は他のソフトに比べてやや限定的です。ArchiCADは特に建築設計事務所や中小規模のプロジェクトに適しており、デザイン重視のユーザーに人気があります。


GLOOBE(福井コンピュータアーキテクト社)

GLOOBEは、日本の福井コンピュータアーキテクト社が開発したBIMソフトです。日本の建築基準法や設計手法に対応しており、国内の設計事務所や建設会社で広く使用されています。日本語インターフェースと豊富な日本仕様の部材ライブラリーが特徴です。確認申請に必要な図面作成機能も充実しています。


ただし、海外のプロジェクトでの使用には適していない場合があります。GLOOBEは特に日本国内のプロジェクトに強みを持つBIMソフトです。


Vectorworks(Vectorworks社)

Vectorworksは、2D CADから3D BIMまで対応する統合ソフトウェアです。建築設計だけでなく、造園や舞台設計など幅広い分野で使用されています。比較的低価格で導入でき、学習も容易です。自由度の高いモデリング機能があり、複雑な形状の建築物にも対応できます。


ただし、大規模プロジェクトでの性能面では他のソフトに劣る場合があります。ectorworksは特に小規模から中規模のプロジェクトや、多様な設計分野に携わる事務所に適しています。


Tekla Structures(Tekla社)

Tekla Structuresは、フィンランドのTekla社が開発したBIMソフトです。世界100カ国以上で導入実績があります。このソフトの特徴は、建物の建設から維持管理に必要なあらゆる構造データを含んだ正確かつ豊富な情報によって、建物の3次元モデルを作成できる点です。建物のライフサイクル全体を通じて必要な構造情報を提供し、効率的な設計と管理を可能にします。


BIM導入のメリット

BIMを導入することには、多くのメリットがあります。設計・施工の効率化や品質向上、コストとスケジュール管理の精度向上、クライアントとのコミュニケーション改善などが主な利点として挙げられます。


設計・施工の効率化と品質向上

BIMを使用すると、設計と施工の過程が大幅に効率化されます。3次元モデルを中心に設計を進めるため、平面図、立面図、断面図などの各種図面が自動的に生成されます。図面間の不整合を減らし、設計ミスを防げます。


また、干渉チェック機能を使用して、設備配管と構造部材の衝突などの問題を早期に発見できます。BIMモデルを活用することで、施工段階でも工程の可視化や施工シミュレーションが可能となるため、作業の効率化と品質向上につながります。


コストとスケジュール管理の精度向上

BIMモデルには建物の各部材や設備機器の情報が含まれているため、数量の自動集計が可能です。より正確な積算やコスト管理ができるようになります。また、4D BIMと呼ばれる手法を用いると、3次元モデルに時間の概念を加えて工程計画を立てられます。予期せぬ問題を事前に発見できれば、事前に対策を講じられるので、結果として工期の遅延やコストの超過を防ぐことができます。


クライアントとのコミュニケーション改善

BIMの3次元モデルは、クライアントとのコミュニケーションツールとして非常に有効です。従来の2次元図面では、専門知識がない人には理解しにくい場合がありましたが、BIMモデルを使用すれば、完成イメージをより直感的に伝えることができます。


設計変更の影響をリアルタイムで確認できるため、クライアントの要望に迅速に対応することが可能です。バーチャルリアリティ(VR)技術と組み合わせることで、より臨場感のある空間体験を提供することもできます。


BIM導入のデメリットと課題

BIMの導入には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットや課題も存在します。これらを理解した上で適切に対策を講じることが、成功したBIM導入につながります。


導入コストと人材育成の負担

BIM導入の最大の課題の一つが初期投資の大きさです。BIMソフトのライセンス料は高額で、高性能なコンピューターも必要になる場合があります。また、社員の教育・トレーニングも不可欠です。これらの費用は、特に中小企業には大きな負担となる可能性があります。


人材育成も重要な課題です。BIMソフトの操作方法だけでなく、新しい業務プロセスの習得も必要で、時間と労力がかかります。短期的には生産性が低下する可能性もあり、BIMマネージャーのような専門職の育成も必要となります。


既存のワークフローの変更

BIMの導入は業務プロセス全体の見直しを伴います。従来の2D CADベースの設計プロセスとは異なり、BIMでは早い段階から詳細な情報を入力する必要があります。これは設計者の作業方法の大幅な変更を意味します。


また、BIMを活用するには各部門が密接に連携する必要があり、従来の部門間の壁を取り払う必要があります。このような組織文化の変革には時間がかかり、社内の抵抗に直面する可能性もあります。新しいワークフローへの適応には、段階的なアプローチと十分な準備期間が必要です。


セキュリティリスクへの対応

BIMでは建物に関する膨大な情報がデジタルデータとして管理されるため、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。特に、クラウドベースのBIMシステムを使用する場合は、外部からの攻撃に対する対策が重要です。


また、複数の関係者がデータを共有するBIMの特性上、アクセス権限の管理も複雑になります。さらに、知的財産権の保護も課題となります。BIMモデルには設計者のノウハウが詰まっているため、データの取り扱いには十分な注意が必要です。


これらのセキュリティリスクに対応するには、技術的対策だけでなく、社員教育や運用ルールの整備など、総合的なアプローチが求められます。


まとめ

BIMソフトの選択は、プロジェクトの成功に大きく影響します。規模、複雑さ、互換性、サポート体制、コストなどを考慮し、最適なソフトを選ぶことが重要です。BIM導入には効率化やコミュニケーション改善などのメリットがありますが、コストや人材育成の課題もあります。これらを十分に理解し、自社に合った戦略を立てることが大切です。


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