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建築DXとは?導入メリットや具体的な事例を解説

建築DXとは?導入メリットや具体的な事例を解説

建設業界においても、デジタル技術を活用した変革、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目を集めています。建設DXは、単なる業務効率化にとどまらず、企業の競争力強化や新たな価値創造を目指す取り組みです。


本記事では、建設DXが求められる背景や具体的な取り組み内容、導入のメリットと課題、そして今後の展望について詳しく解説します。デジタル技術が建設業界にもたらす変革の可能性を探りながら、建設DXの全体像を把握することができます。


建築DXとは?

建築DXは、建築業界にデジタル技術を取り入れ、業務や組織に変革をもたらす取り組みです。単なる業務の効率化だけでなく、建設プロセス全体を最適化し、新たな価値を生み出すことを目指しています。


建築DXが注目される背景には、人材不足や技術継承の問題、生産性の向上への要求があります。また、2024年には改正労働基準法の「時間外労働の上限」が建設業界にも適用されることから、働き方改革の実現も急務となっています。


建築DXは、これらの課題に対応するための重要な手段として位置づけられています。デジタル技術を活用することで、業務の効率化や品質の向上、安全性の確保などが期待されています。


建築DXで活用される主な技術

建築DXでは、様々なデジタル技術が活用されています。これらの技術は、建設プロセスの各段階で効果を発揮し、業務の効率化や品質の向上に貢献しています。


BIM/CIMの活用と効果

BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)は、建築物や構造物の3次元モデルを作成し、設計から施工、維持管理までの情報を一元管理する技術です。この技術により、関係者間での情報共有が容易になり、設計の不整合や施工時の問題を事前に発見できます。


施工シミュレーションが可能となり、工程の最適化や安全性の向上にも役立ちます。BIM/CIMの活用は、国土交通省が推進しており、2023年度からは小規模工事を除くすべての公共事業に原則適用されることになっています。


クラウドサービスの利用方法

クラウドサービスは、インターネット上のサーバーを利用してデータやソフトウェアを利用する技術です。建築業界では、図面や工程表、各種文書などをクラウド上で管理し、関係者間で共有することが可能になります。


これにより、場所や時間を問わずに必要な情報にアクセスでき、リモートワークの実現や業務の効率化につながります。また、システムの維持管理をクラウド事業者が行うため、ITコストの削減も期待できます。


AI・IoTの導入事例

AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)技術も、建築DXにおいて重要な役割を果たしています。AIは、設計支援や品質管理、安全管理などに活用されています。例えば、過去の設計データを学習したAIが、最適な設計案を提案したり、施工時の不具合を予測したりすることが可能になっています。


IoTは、建設機械や作業員の動きをリアルタイムで把握し、作業の効率化や安全管理に役立てられています。センサーを取り付けた建設機械から得られるデータを分析し、最適な作業計画を立てることも可能です。


ドローンと3D測量技術の活用

ドローンと3D測量技術の組み合わせは、建設現場の測量や進捗管理に革新をもたらしています。従来、人手で行っていた測量作業をドローンで行うことで、短時間で広範囲の測量が可能になりました。


また、撮影した画像から3Dモデルを作成することで、地形の詳細な把握や土量計算が容易になっています。さらに、定期的に現場を撮影することで、工事の進捗状況を正確に把握し、計画との差異を早期に発見することができます。


これらの技術は作業の効率化だけでなく、危険な場所での作業を減らし、安全性の向上にも貢献しています。


建築DX導入のメリット

建築DXを導入することで、建設業界が直面する様々な課題の解決が期待されています。具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。


業務効率化と生産性向上

建築DXの導入により、業務の効率化と生産性の向上が実現します。例えば、BIM/CIMの活用により、設計段階での不整合を早期に発見し、手戻りを減らすことができます。また、クラウドサービスを利用することで、関係者間での情報共有がスムーズになり、意思決定のスピードが上がります。


さらに、AIやIoTの活用により、作業の自動化や最適化が進み、作業時間の短縮や人的ミスの削減が可能になります。これらの取り組みにより、全体的な業務効率が向上し、生産性の大幅な改善が期待できます。


コスト削減と資源の有効活用

建築DXは、コスト削減と資源の有効活用にも貢献します。3Dモデルを活用した事前検討により、施工段階での手戻りや材料のロスを減らすことができます。また、IoT技術を用いた建設機械の稼働管理により、機器の効率的な運用が可能になり、燃料費の削減や環境負荷の低減につながります。


クラウドサービスの利用により、ペーパーレス化が進み、印刷コストや保管スペースの削減も実現します。直接的なコスト削減だけでなく、環境に配慮した持続可能な建設活動にもつながるでしょう。


品質向上と安全性の確保

建築DXの導入は、建設物の品質向上と現場の安全性確保にも大きく貢献します。BIM/CIMを用いた詳細な事前検討により、設計品質の向上と施工時の不具合の減少が期待できます。また、AIを活用した品質管理システムにより、人間では見逃しがちな微細な不具合も検出できるようになります。


安全面では、IoTセンサーを用いた作業員の健康状態モニタリングや危険区域への立ち入り検知システムなどが導入されています。ドローンを使用した高所点検や、VR(仮想現実)技術を用いた安全教育など、新たな技術の活用により、作業員の安全確保と事故防止に大きな効果を上げています。


働き方改革の推進

建築DXは、建設業界における働き方改革の推進にも大きな役割を果たしています。クラウドサービスの活用により、場所や時間を問わない柔軟な働き方が可能になります。現場とオフィスをリアルタイムで繋ぐことで、移動時間の削減や迅速な意思決定が実現します。


AI・IoT技術による作業の自動化や効率化は、長時間労働の削減にもつながります。VR技術を用いた遠隔での現場確認や会議の実施によって出張の回数を削減でき、ワークライフバランスの改善や多様な人材の活用が期待できます。


建築DXの具体的な導入事例

建築DXの取り組みは、大手建設会社から中小建設会社、さらには公共工事にまで広がっています。それぞれの規模や特性に応じた導入事例を見ていきましょう。


大手建設会社の取り組み

大手建設会社では、全社的な建築DXの取り組みが進められています。


例えば、ある大手建設会社では、BIM生産基盤の構築に注力し、設計から施工、維持管理までの一連のプロセスをデジタル化しています。BIMモデルを直接施工用図面として活用するプロセスを確立し、図面作成の手間を大幅に削減するとともに、各関係者への情報伝達を視覚的かつ正確に行えるようになりました。


別の事例では、建物のシステムや設備を一元管理できる「建物OS」を開発し、入居者・建物管理者・オーナーの利便性や業務効率性の向上を実現しています。


中小建設会社のDX事例

中小建設会社でも、規模に応じた建築DXの取り組みが進められています。例えば、ある中堅建設会社では、360度カメラを活用した現場管理システムを導入しています。このシステムにより、現場の状況を詳細に記録し、遠隔地からでも正確な進捗確認や品質チェックが可能になりました。


別の事例では、クラウド型の工程管理システムを導入し、複数の現場の進捗状況をリアルタイムで把握できるようになりました。人員配置の最適化や資材の効率的な調達が可能になり、全体的な生産性の向上につながっています。


公共工事におけるDX活用例

公共工事においても、建築DXの活用が進んでいます。国土交通省が推進するi-Constructionの取り組みでは、ICT技術を全面的に活用し、測量、設計、施工、検査の各段階でデジタル化を進めています。


例えば、ドローンを使用した3D測量や、ICT建機による施工、タブレット端末を用いた検査など、様々な技術が導入されています。また、BIM/CIMの活用も進んでおり、3次元モデルを用いた設計・施工により、関係者間の合意形成の迅速化や、施工精度の向上が図られています。


建築DX導入の課題と対策

建築DXの導入には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの課題も存在します。これらの課題を認識し、適切な対策を講じることが、成功的な建築DXの実現につながります。


人材育成と教育の重要性

建築DXを推進する上で、最も大きな課題の一つが人材育成です。新しいデジタル技術を効果的に活用するためには、それらを扱える人材が不可欠となります。しかし、建設業界では従来の技術や方法に慣れた従業員が多く、新しい技術への抵抗感も少なくありません。


社内でのデジタルスキル向上の機会を設けたり、外部の専門家を招いてセミナーを開催したりするなどの取り組みが効果的です。若手社員とベテラン社員のペア制度を導入し、相互に学び合う環境を作ることも有効だと言えます。


初期投資と運用コストの問題

建築DXを導入する際には、初期投資と継続的な運用コストが必要となります。特に中小企業にとっては、この費用負担が大きな障壁となる場合があります。この課題に対しては、段階的な導入や優先順位をつけた投資計画が有効です。


まずは比較的導入しやすいクラウドサービスから始め、徐々に範囲を広げていくアプローチが考えられます。政府や自治体が提供する補助金や助成金制度を活用することも検討すべきです。同業他社との共同導入や業界団体を通じた共同購入なども、コスト削減の方策として考えられます。


セキュリティ対策の必要性

建設プロジェクトに関する機密情報や個人情報の漏洩は、企業の信頼を大きく損なう可能性があります。社内のセキュリティポリシーを明確化し、全従業員に周知徹底することが重要です。


また、クラウドサービスを利用する際は、信頼性の高いプロバイダーを選択し、データの暗号化や多要素認証の導入など、適切なセキュリティ対策を講じることが求められます。万が一の情報漏洩にも備え、インシデント対応プランを策定しておくことも重要です。


まとめ

建築DXは、建設業界の課題解決と競争力強化に不可欠な取り組みです。BIM/CIM、クラウドサービス、AI・IoTなどの技術活用により、業務効率化、コスト削減、品質向上、安全性確保、働き方改革の推進が期待できます。


導入には人材育成、初期投資、セキュリティ対策などの課題がありますが、適切な対応策を講じることで克服できます。建築DXの成功には、企業の特性に応じた計画的な推進が重要です。


建築DXの導入や推進について専門的なアドバイスが必要な場合は、国土工営コンサルタンツ株式会社へご相談ください。豊富な経験と専門知識を活かし、お客様の状況に応じた最適な建築DX戦略の立案と実施をサポートいたします。建設業界の未来を切り開く建築DXの実現に向けて、共に歩んでいきましょう。

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