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建築構造の種類は?建設業界の基礎知識を解説

建築構造の種類は?建設業界の基礎知識を解説

建築物は私たちの生活を支える大切な基盤です。その建築物を形作る骨組みが「建築構造」です。建築構造には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。この記事では、建築構造の基礎知識と主な種類について解説します。


建築構造とは何か

建築構造は、建物の骨格を形作る重要な要素です。建物の形を保ち、様々な力に耐える役割を担っています。この章では「建築構造」について解説します。


建築構造の定義と役割

建築構造とは、建物を支える骨組みのことです。地面から立ち上がる柱や壁、それらをつなぐ梁などが主な構成要素となります。建築構造の主な役割は、建物に加わる様々な力に耐え、安全性を確保することです。


建物には常に重力が作用しています。さらに、風や地震による力も受けます。建築構造は、これらの力をうまく受け止め、地面へと伝える働きをします。適切な建築構造があるからこそ、私たちは安心して建物を利用できるのです。


建築物の安全性と快適性を支える仕組み

建築構造は安全性だけでなく、建物の快適性にも大きく関わっています。例えば、大きな部屋を作るために柱の数を減らしたり、天井を高くしたりするのも、建築構造の工夫によるものです。


また、建築構造は建物の耐久性にも影響します。適切な構造設計により、長年にわたって建物を使い続けることが可能になります。建築構造は建物の安全性、快適性、耐久性を総合的に支える重要な仕組みなのです。


主な建築構造の種類と特徴

建築構造には様々な種類があります。それぞれに特徴があり、建物の用途や規模に応じて適切な構造が選ばれます。


木造構造の魅力と課題

木造構造は、日本の伝統的な建築方法として長く親しまれてきました。木材を主な構造材料とする木造構造は、以下のような特徴があります。


魅力

  • 温かみのある雰囲気を作り出せる
  • 比較的軽量で地震時の揺れが小さい
  • 加工が容易で工期が短い
  • 断熱性が高く結露が起こりにくい

課題

  • 火災に弱い
  • シロアリなどの害虫被害を受けやすい
  • 大規模な建築には不向き

木造構造は主に戸建て住宅や小規模な建物に用いられます。近年は技術の進歩により、中層建築物にも木造が採用されるケースが増えています。


鉄骨構造が選ばれる理由

鉄骨構造は、鋼材を骨組みとして使用する構造方式です。


主に以下のような特徴があります。

  • 強度が高く、大空間を作りやすい
  • 軽量で、基礎工事の負担が小さい
  • 工場製作が可能で、現場での工期が短縮できる
  • 耐震性に優れている
  • リサイクルが容易

これらの特徴から、鉄骨構造は高層ビルや大型の商業施設、工場などに多く採用されています。一方で、防錆処理が必要なことや、高温時に強度が低下するといった課題もあります。


鉄筋コンクリート造の強みと用途

鉄筋コンクリート造(RC造)は、コンクリートと鉄筋を組み合わせた構造です。


以下のような特徴があります。

  • 高い強度と耐久性
  • 優れた耐火性能
  • 遮音性が高い
  • 自由な形状の建物が作れる
  • メンテナンス性が良い

これらの特徴から、鉄筋コンクリート造は集合住宅やオフィスビル、学校、病院など、多くの用途の建物に採用されています。ただし、重量が大きいため基礎工事のコストが高くなることや、工期が長くなる傾向があることなどが課題として挙げられます。


鉄骨鉄筋コンクリート造の特性

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、鉄骨造と鉄筋コンクリート造の長所を組み合わせた構造です。


主な特徴は以下の通りです。

  • 非常に高い強度と耐久性
  • 優れた耐震性能
  • 大スパンの構造が可能
  • 高層建築に適している

これらの特徴から、SRC造は超高層ビルや大規模な公共施設などに用いられます。ただし、建設コストが高くなる傾向があるため、その性能が必要な建物に採用が限られます。


その他の構造形式の概要

上記以外にも、以下のような構造形式があります。これらの構造形式は、それぞれの特徴を活かして適切な用途に採用されています。


プレストレストコンクリート造

コンクリートに予め圧縮力を加えることで強度を高めた構造

壁式構造

壁を主要な構造体とする構造方式

軽量鉄骨造

薄い鋼材を用いた構造で主に小規模な建物に使用される


建築構造の選び方のポイント

建築構造の選択は、建物の性能や使いやすさに大きく影響します。適切な構造を選ぶためのポイントを見ていきましょう。


建物の用途と規模による違い

建物の用途や規模によって、最適な構造は異なります。例えば、一般的な戸建て住宅では木造が多く選ばれますが、大規模な商業施設では鉄骨造や鉄筋コンクリート造が採用されることが多いです。


建物の高さも構造選択の重要な要素です。低層建築では様々な構造が選択肢となりますが、高層建築になると鉄骨造や鉄骨鉄筋コンクリート造が主流となります。また、建物内部に必要な空間の大きさも考慮する必要があります。大きな無柱空間が必要な場合は、鉄骨造が適している場合が多いです。


地域性と気候条件の考慮

建物が建つ地域の特性や気候条件も、構造選択の重要な要素です。例えば、地震が多い地域では耐震性能の高い構造が求められます。また、豪雪地帯では雪の重さに耐えられる構造が必要です。


沿岸部では潮風による腐食を考慮して、耐候性の高い材料や構造を選ぶ必要があります。一方、山間部では資材の運搬や施工の難しさを考慮し、現場での作業を減らせる構造が選ばれることがあります。


コストと工期の関係

建築構造の選択は、建設コストと工期にも大きく影響します。一般的に木造は材料費が比較的安く、工期も短いため、初期コストを抑えられます。一方、鉄筋コンクリート造は耐久性に優れているため、長期的に見ると維持管理コストが抑えられる可能性があります。


また、工期の制約が厳しい場合は、工場製作が可能な鉄骨造が選ばれることもあります。予算と時間の制約を考慮しながら、最適な構造を選ぶことが重要です。


建築構造と防災対策

建築構造は、自然災害から人々の生命と財産を守る重要な役割を担っています。主な災害への対策を見ていきましょう。


地震に強い建物の特徴

地震に強い建物には、以下のような特徴があります。

  • 適切な剛性と粘り強さを持つ構造材料の使用
  • バランスの取れた構造計画
  • 基礎と上部構造のしっかりした接合
  • 適切な耐震要素(耐震壁、筋かいなど)の配置

近年では、建物の揺れを抑える免震構造や制震構造も多く採用されています。これらの技術により、建物の安全性が大きく向上しています。


台風や豪雨から建物を守る方法

台風や豪雨に対する建築構造の対策には、以下のようなものがあります。

  • 強風に耐える屋根や外壁の設計
  • 雨水の適切な排水システムの構築
  • 浸水を防ぐための基礎の高さ設定
  • 飛来物から窓を守る対策(シャッターの設置など)

これらの対策により、風水害による建物被害を最小限に抑えることが可能になります。


火災に対する構造的な備え

火災から建物を守るための構造的な対策には、以下のようなものがあります。

  • 耐火性能の高い構造材料の使用
  • 防火区画の設置
  • 避難経路の確保
  • 延焼を防ぐための外壁や開口部の設計

特に大規模な建物では、これらの対策が法律で義務付けられています。適切な防火対策により、火災時の安全性が大きく向上します。


建築構造の最新技術と今後の展望

建築構造の分野では、常に新しい技術が研究・開発されています。最新の動向と将来の展望を見ていきましょう。


新しい材料と工法の登場

建築構造の分野では、新しい材料や工法が次々と登場しています。例えば、高強度コンクリートや高性能鋼材の開発により、より細い部材で建物を支えることが可能になっています。


また、木材を加工して強度を高めた集成材や直交集成板(CLT)の登場により、木造建築の可能性が広がっています。これらの新しい材料を活用することで、より自由度の高い設計や、環境負荷の低減が実現しています。


工法の面でもプレハブ化やモジュール化が進んでいます。工場で部材を製作し、現場で組み立てる方式により、品質の向上と工期の短縮が図られています。


デジタル技術の活用と構造設計

コンピューター技術の発展により、建築構造の設計や解析が大きく変わってきています。3次元CADソフトウェアの普及により、複雑な形状の建物でも正確に設計できるようになりました。また、構造解析ソフトウェアの進化により、地震や風の影響をより精密にシミュレーションでき、より安全で効率的な構造設計が実現可能となりました。


さらに、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入により、設計から施工、維持管理までの一貫したデータ管理も可能です。建物のライフサイクル全体を通じた最適化が進んでいます。


環境に配慮した建築構造の未来

地球環境問題への関心の高まりを受けて、建築構造の分野でも環境への配慮が重要視されています。例えば、建材の製造や輸送、建設時のCO2排出量を削減する取り組みが進んでいます。


木造建築の技術向上により、中高層建築にも木材を使用する事例が増えています。木材は再生可能な資源であり、CO2を固定する効果もあるため、環境負荷の低減に寄与します。また、建物の長寿命化も重要なテーマです。適切な構造設計と維持管理により、建物を長く使い続けることで、資源の節約と廃棄物の削減につながります。


将来的には、AI(人工知能)技術の発展により、より効率的で環境に優しい構造設計が可能になると期待されています。また、自然災害の激甚化に対応するため、より高度な防災性能を持つ構造技術の開発も進んでいくでしょう。


まとめ

建築構造は、建物の安全性と快適性を支える重要な要素です。木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など、様々な種類の構造があり、それぞれに特徴があります。建物の用途、規模、地域性、コストなどを考慮して適切な構造を選ぶことが大切です。


近年、新しい材料や技術の開発が進み、デジタル技術の活用により精密な設計が可能になっています。また、環境への配慮も重要なテーマとなっており、持続可能な建築構造の実現に向けた取り組みが進んでいます。


国土工営コンサルタンツ株式会社は、豊富な経験と最新の技術を活かし、安全で快適な建築物の実現に貢献しています。建築構造に関するご相談やお問い合わせがありましたら、お気軽にご連絡ください。私たちは、お客様のニーズに合わせた最適な構造設計をご提案いたします。

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